「ノケモノノケモノ」のあらすじと感想(ネタバレあり)

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小林賢太郎さんの演劇舞台「ノケモモノケモノ」福岡公演初日行ってきました~。

何がすごいかって、終わった後の拍手が鳴り止まないこと!
そして、ついにはスタンディングオベーションまで!
演劇は過去に見た舞台もそんなにあるわけじゃないんですが、演劇の舞台でスタンディングオベーションは初めての経験でした。

ということで、以下「ノケモノノケモノ」のご紹介と、感想や個人的に思ったことなどを綴っていきたいと思います。(途中あらすじ、ネタバレありますのでご注意下さい)

 

「ノケモモノケモノ」作品情報

 

【脚本演出・美術】小林賢太郎

【出演】音尾琢真/辻本耕志/高橋良輔/小林賢太郎

【物語】

公演HP中で小林賢太郎さんが紹介するこの「ノケモモノケモノ」って?

「ざっくり言うと普通の人が不思議な世界に巻き込まれていく物語。不思議の国のアリスのような少女じゃなく、おっさんだけど。堅苦しい話ではなく、長いコントのように思ってくれたら、問題ないです。笑って笑って、最後ちょこっと考えて。そんな楽しみ方をしてくれたら幸いです」

 

とかなりざっくりな予備知識を得て観に行ったわけですが、観終わっての印象を語らせていただけるとするなら、まずは言いたい「この人天才だな」と。

何だか上から目線になっていたらすみません、なのですが。

ではこの「ノケモモノケモノ」のどんなところがそう感じたのかを語っていきたいと思います。(以下あらすし・ネタバレあります)

 

「ノケモノノケモノ」あらすじと感想

 

以下、個人的な意見や感想を交えながらのあらすじです。あらすじは1度だけの観劇で記憶を頼りに書いているので、細かいところや順序に間違いがあったらすみません。

 

バス停【獣が淵】

 

舞台はとある田舎のバス停から始まります。大手自動車メーカーで働く主人公のハラミヤ(音尾琢真)は、地方の農地に工場建設をしようと地主と交渉しますが、結果は決裂に終わります。バス停で、後輩(辻本耕志)に交渉相手の老人のことをあれこれ言いながら、帰りのバスを待っています。

どことなく発言の端々に田舎を馬鹿にしたようなところがあるハラミヤは、トレンド雑誌を見ながら「やっぱりこれからは資格だよな~、雑誌でもみんな言ってるよ」などと言いながら、雑誌に載っているブランド時計と同じモノが自分の手にはまっているのを満足げに眺めたりしています。

また後輩(辻本耕志)が「僕の生まれは、ここよりももっと田舎でしたね」と言うと、「田舎も~ん」と馬鹿にします。あげくの果てには「バスが遅い」だの、「だからタクシーを待たしておけばよかったんだ」「だから先に飯にしようっていったんだ」とぶつぶつ言い始めます。後輩は、そんな言葉を一向に気にするでもなく、「僕、あのうちのおじいさんにタクシーを呼んでもらえるか聞いてきますねっ」といい、老人の家に走っていってしまいます。

「バス来たらどうするんだよ~お~い!」といいながら、一人取り残されたハラミヤは仕方なくベンチでバスを待ちます。

そこに一人の紳士風な男(小林賢太郎)がやってきます。そのきちんとした身なりを見ながらハラミヤは、「『ここの人』ですか?」と話しかけます。

その男は「違います」といい、自分の名前を「入間(いるま)」と名乗りました。
ハラミヤはさっそく「え~私、大手自動車メーカーの・・・」と自分の名刺を出そうとしましたが、入間(小林賢太郎)はそれを受け取らずに、自分の食べていた動物クッキーを差し出します。

ハラミヤは、いぶがしげな顔をしながらそのクッキーの「カメレオン」を口にします。「うわっ・・・なんだこの味」と思っているところに、バスが到着します。

そこから不思議な旅が始まります。

 

すべてはあなた次第

 

入間(小林賢太郎)とともにバスに乗り込んだハラミヤ(音尾琢真)は、「後輩も一緒に乗せないと」と入間に言います。ふと、外に目をやると、「ハラミヤさ~ん」と走ってくる後輩の姿が。ハラミヤはバスを止めてもらおうとしますが、どうも様子がおかしい・・・後輩の姿がいくつにもなって、何度も窓の外にうつります。

「これは普通のバスじゃない!」と焦ったハラミヤ(音尾琢真)は、入間に説明を求めます。「このバスはあなたが降りたいと言えば、どこででも降りることが出来ます」という入間の言葉に、「もうここで降りる!」と言いながら窓の外を見ると・・・。今度はうさぎの怪獣のような巨大な生物が!ますますパニックになったハラミヤは、「もとのバス停でいいから、戻してくれ!」と叫びます。

そこで入間は静かに言います。
「このバスは終点まで行ったら折り返します。そうしたら、もとのバス停に戻りますよ」

どうなってしまうのか分らないで焦るハラミヤ(音尾琢真)は、バスの中で路線図を見つけます。ですが、それは普通の路線図ではなく、生き物の進化の様子を書いたものでした。

ますます分けがわからないでいるうちに、バスはある不思議な市街地へ到着します。

市街地に着いたハラミヤ(音尾琢真)は、入間(小林賢太郎)の後をついていきますが、どうしたことか街の景色がゆらゆらと揺れており、歩いていてもふらふらしてしまいます。普通に歩けている入間を見て、ハラミヤは思わず声をかけます。「よくこの中で平気で歩けますね!」

すると、入間はまた静かに言います。「あなたが平気だと思えば平気になりますよ」と。

それを聞いてハラミヤは、そんな簡単なものじゃ・・・という顔をしますが、しばらくすると「あれ?ホントだ!平気になった!」と驚きます。

そこで、入間に帰りのバスのお金「420円」はあるか、とたずねられます。「あ~1万円札なら」と答えるハラミヤに、「向こうの日本円は使えませんよ。こっちにいる間になんとか用意しましょう」と言われます。そして帰りのバスの時間までしばらくあるからお蕎麦屋さんに行きましょうと誘われます。

 

蕎麦屋にて

 

お蕎麦屋さんにつくと、店主(辻本耕志)が店のテレビで、スポーツ中継を見ていました。こちらの世界の言葉のようで、テレビ中継も店主の話す言葉も、ハラミヤ(音尾琢真)には何と言っているのか分りません。初めは入間(小林賢太郎)の通訳で、「メニューには、たぬき蕎麦やきつね蕎麦など普通のメニューもある」という事を知りますが、そのうち店主がハラミヤにどんどん話しかけてきます。

入間に「話していることが分らない」と助けを求めると、入間はまたこう言いました。「あなたが分ると思えば分りますよ」と。

それを聞いたハラミヤは、しばらく「分ったようなフリ」をしてあいづちを打っていましたが、気づくと本当に言葉が分かるようになってきました。どうやら、このお店の人気メニューは「ケモノ蕎麦」だという事がわかり、「ケモノ??ケモノって・・・」と悩みます。

そうこうしているうちに、出前に出ていた男(高橋良輔)も戻り、初めは笑って話していた店主とその男との間に一悶着(ひともんちゃく)起こります。こちらの世界の独特の格言のようなものがあるらしく、日本語はわかっても今度は格言の意味が分りません。

唯一覚えた格言が「こめかみにロバ」でした。意味を聞くと「うっとうしい」という意味らしく、それは確かにうっとうしいなと納得するハラミヤでした。この「こめかみにロバ」は何度が抜群のタイミングで使われてて、かなり笑えました。

結局ハラミヤは「ケモノ蕎麦」を頼むことにし、かなりリアルな「ケモノ蕎麦」が登場していました。味は美味しかったようですが、最後まで「ケモノ蕎麦」の「ケモノ」が何だったのかは、誰からも教えてもらうことは出来なかったようです。

 

図書館

 

蕎麦やを出たハラミヤ(音尾琢真)は、入間(小林賢太郎)にある図書館に連れて行かれます。その図書館は普通の書物が置いてあるのではなく、創造主に作られた生き物たちの記録を綴った資料が置いてある図書館でした。それが大きな歯車となって、動いています。「人間」のコーナーでは全人口70億冊の資料があり、その中にハラミヤ(音尾琢真)の資料もありました。

「ここの図書館にある人間70億人分の資料は何度も読みました」という入間(小林賢太郎)はハラミヤの資料を取り出し読み上げていきます。

『1○○○日目、目を閉じてミニカーに触っただけで、車種を当てることが出来た』
『1○○○日目、集めていたミニカーの数が500台を超えた』

それを聞いたハラミヤは、「4歳の時ですね、懐かしいなあ~」「僕ね、車が好きだったんですよ!」と子供の頃の記録を聞いて、笑顔になります。

ところが高校生になるころからの記録を読まれるうちに、ハラミヤの顔が曇り始めます。
「それ・・・趣味、ロックなんて書いてあるけどね、本当はロックなんて好きじゃないんです。周りがロックを聴いててそう書いたほうがカッコいいと思ったから、書いただけなんです」と告白します。

さらに入間は資料を読み続けます。
『1○○○日目、大切にとっておいた500台のミニカーをあなたは全部捨ててしまった・・・』
大人になるにつれ自分自身を、「見栄を張るため」や「人によく思われるため」「人の目を気にして」作り上げたものだったと気づいたハラミヤ(音尾琢真)は、その続きを聞くことが出来ず、記録を読み続ける入間を振り切って逃げ出します。

 

お前の話をしろ

 

さらに不思議な世界の奥へと迷い込んだハラミヤ(音尾琢真)は、矢を持った狩人(高橋良輔)に出会います。狩人はハラミヤに矢を向けてこう言いました。「お前の話をしろ」

ハラミヤは、「え?」と思いますが、すぐに気を取り直していつものように名刺を差し出しながら、「私、大手自動車メーカーで働いています」と言います。

狩人は「組織の話じゃない!お前の話だ」と言います。

ハラミヤは、「僕はブランドの財布も持っているし、ほらこのブランドの時計、この雑誌にも載ってるんですよ!」と説明します。

また狩人は言います。「持ち物の話じゃない、お前の話だ」

分けが分らなくなってきたハラミヤは、焦りながら「ほらっ、この雑誌のこの有名な人、僕この人の知り合いなんですよ!」

さらに狩人は続けます。「お前の知り合いの話じゃない!お前の話だ」

続けて狩人はにこう言います。
「人とは違うと思いたいくせに、人と同じでないと不安になる生き物、それが人間」

狩人はハラミヤに向けて矢を放ちます。間一髪のところで、入間に助けられたハラミヤは、今までの世界では通用していたものが通用しないと分り、「自分は何者なんだ?」と思い始めます。

 

自分はここにいるカニだ・・・

 

場面は変わり、目の前には砂浜が広がっています。そこには数百とも思われるカニ・カニ・カニ・・・同じ顔をしたカニ達が砂浜一面を覆い、威嚇するかのように一斉にはさみを振り上げています。

自分のすごさを見てくれと言わんばかりに、はさみを振り上げるカニたち。そこでハラミヤ(音尾琢真)は呟きます。

「他のカニも皆同じ格好をしているのも気づかずに・・・他とは違うと主張しながら、他と同じでないと不安になる・・・・このカニは自分だ・・・」

そこに入間(小林賢太郎)が現れ、ハラミヤに「何をしたいか」たずねます。ハラミヤは、「体を動かしたい!」といい、この世界で作られたケモノたちを、箱舟に乗せる作業を手伝うことにします。

ケモノたちを箱舟に運び終わったハラミヤは、現場責任者(辻本耕志)から賃金をもらいます。そのお金は、ちょうど帰りのバス代にぴったりの420円でした。その後、責任者に「私の賃金は?」と入間が言い出し、流れで漫才のようになるのですが、その掛け合いが最高に面白いです。

 

再び狩人に出会う

 

帰りのバス代も手にいれ、後はバスを待つばかりとなったハラミヤ(音尾琢真)は、入間(小林賢太郎)にこう切り出します。「帰りのバスまでまだ時間はありますか?あるなら行きたいところがあります」

そして、ハラミヤは狩人(高橋良輔)のいる場所へ戻っていきます。再び狩人に出会ったハラミヤは、狩人から意外な話を聞きます。

狩人も昔、この世界に迷い込んだ人間だったということ。「あっちの世界でもこっちの世界でも、同じノケモノなら、自分はこっちの世界の方が肌に合っている」と、この世界に残ることを選んだこと。

そして入間(小林賢太郎)の意外な出生の秘密も聞いてしまいます。それは入間もかつては人間で、この世界に迷い込んでしまった1人だということ。ただし入間は「創造主」から作られた人間ではなく、人間の手で遺伝子操作によって作られたコピー人間だという事。

「だから入間さんは70億冊の資料を読んだのか・・・」
そう、入間は自分の存在を探すために、70億冊の資料を1冊1冊読んでいったのです。創造主に作られたのではなく、人間の手によって作られた入間の記録は、当然その資料の中にはありませんでした。

 

入間との別れ

 

バス停に戻ると入間(小林賢太郎)が待っていました。狩人に聞いた話は自分の胸の中にそっとしまい、ハラミヤ(音尾琢真)は入間にたずねました。「僕とこのバス停で出会うってどうして知っていたんですか?」

すると入間はにっこりわらってこう答えました。
「この資料に書いてありました。ハラミヤさんの資料に私の名前を見つけたときは嬉しかったなあ~」

そう、入間にとっては、このハラミヤとの出会いと、一緒に過ごす短い時間が唯一、「自分の存在価値」を証明できる出来事だったのです。

それを聞いてハラミヤは、入間に「あの資料、間違っているところもありますよ」と言います。「ミニカー500個捨てたって書いてありましたけど、本当はね、お気に入りの数個だけ実家の引き出しに隠しておいたんですよ」

そうだったんですか、という顔をする入間に、ハラミヤはさらに続けます。「これからは僕の人生は自分で書き換えていきます」と。

人の顔色を伺い、人にどう見られるかを気にしてずっと生きてきたハラミヤが、迷い込んだ世界で見つけた自分だけの答えでした。

「一つだけそこに書かれている僕の未来のことを聞いてもいいですか?」と入間に聞きます。

「僕はまたいつか・・・」

「入間さんと会うことが出来ますか?」

 

しばらくの沈黙のあと、入間は力強くこう答えます。

「はい!」

 

新たな自分との出会い

 

入間と分かれ、再びバスに乗り【獣が淵】のバス停に戻ってきたハラミヤ(音尾琢真)は、後輩(辻本耕志)の姿を見つけます。ハラミヤは嬉しさのあまり何度も何度も後輩の顔を触り嫌がられます。最初にたずねた家の老人が駅まで送ってくれるらしいということを聞いた後、ハラミヤ(音尾琢真)は突然こういいます。

「ここ俺の田舎、高校までここにいたんだ」

「そうだったんですか?でもなんで黙ってたんですか?」という問いに、「田舎もんだって思われるのが嫌だったんだよ」と正直に話します。そして、「今日は久しぶりに実家に泊まっていくから先に帰っててくれ」と言いますが、後輩も「知り合いの両親に会うのが趣味なんで、一緒に行ってもいいですか?」と言い出し結局ハラミヤの実家に一緒にいくことに。

村の老人の車が見え、走っていこうとするところに「にわか雨」が降り始めました。

「あれ~、晴れているのに変ですね」と後輩が言いながら走っていきます。ハラミヤはその場にふと立ち止まり、雨を見上げながら清清しい笑顔を見せるのでした。

 

終わり

 

まとめ

 

入間との別れのシーンは、グッとこみ上げるものがありました。というか、泣けました。
物語では書かれていないので私の推測ですが、「僕はまたいつか入間さんと会えますか?」の問いがありましたよね。もしかしたら、その資料の未来のページには、「再び会う」ことは書かれていなかったのかもしれません。ですが、自分の人生は自分で書き換えていくという意思を見せたハラミヤ(音尾琢真)を見て、入間(小林賢太郎)も自分の未来を自分で決めようとした強い決意の「はい!」だったように思えました。

創造主に作られたのではなく、人間の手で遺伝子操作によるコピー人間として作られ、運命に翻弄されてきた入間(小林賢太郎)が、それまでのどこか機械的で淡々としていた態度から、初めてみせた人間らしさだったのではないでしょうか?

入間との出会いがのハラミヤの人生を変えたように、ハラミヤとの出会いが入間の人生をも変えたように思えました。

こんなにいろいろな展開が繰り広げられる舞台ですが、出演は4人の役者さんのみです。小林賢太郎さん含む4人の役者さんの上手いこと。どの役もぴったりで、とにかくテンポもよく、笑い笑い笑いでした。笑いの最後は、“自分とは何か”を再確認した主人公に共感し、清清しい気持ちが沸きました。もっとこの世界に浸っていたかったです。

最後は観ている人たちの心が「ありがとう~」という感謝の気持ちで一つになったように感じました。本当に観れて良かったです。

最後に、小林賢太郎さん扮する入間(イルマ)というのは、作品案内に役名が載っていなかったので、勝手に「イルマ=入間」と変換してしまいましたが、創造主によって作られた生き物は半分だけ作られ鏡によって反転する。というところから、「人間」を鏡に映すと「入間」になる。よって、「入間」という漢字に何らかの思いを込めて、つけたのでは?と思っていますが、実際は・・・?

拙い文章ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。何かの参考になれば、幸いです。

 

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